番外編  奥氏のインタビュー記事から今後の展開を予想 | GANTZlabo_nexststory blog

番外編  奥氏のインタビュー記事から今後の展開を予想

Interview from Quick Japan
Quick Japan VOL59(2005/3/7発売)に奥浩哉のインタビュー記事が載っている。
今後の展開を予想するにあたり興味深い発言が見られたので紹介します。インタビューは2005年2月25日(オニ星人ミッションのために玄野たちが池袋に転送された号が発売された頃)に行われています。以下は抜粋です。インタビューアは冲方丁 です。

冲方「・・・主人公の親友・加藤や、ヒロインである岸本のような主要キャラまで死ぬ。そういったマンガのセオリーを裏切る展開が衝撃的なんですが、あそこまで徹底的に皆殺しにしてしまって、その後の展開を進める上でのリスクを考えたりはしなかったんですか?」

奥「僕はパターン破りを仕掛けていきたいんですよ。・・・・・・仏像編で主人公の玄野以外みんな死んじゃうのも、誰もやったことがないことをやりたかったからです。主要キャラを殺しちゃっても「この後どうしよう?」なんて考えてなくて、・・・・・・かといって主要キャラが死ぬことがパターンになるのもイヤだから、これからは、玄野の成長を描いたりとか、今までとは別の方向でもやっていきたいと思っています。一回やっちゃったことは、もうやりたくない。

冲方「・・・奥先生にとって作品の中で生死を懸けた『戦い』を描くことには、いったいどういう意味があるんでしょうか?」

奥「僕は『戦い』はエンタテイメントを成立させる上で、読者を惹き付ける装置だと思っています。しかも、ただスポーツで戦いを描くよりも、戦争みたいに命を賭けたバトルの方が生々しいし、マンガは今のところ暴力規制が映画とかアニメよりは薄いから『GANTZ』のバトルシーンでやっているような残酷な描写も許される」

冲方「・・・『残酷に描かないとでないリアルさ』はマンガでこそ描き切れるものだ、ということですか?」

奥「・・・『他メディアではできない表現をマンガでやろう、GANTZ』でしかやってないことをやろう』という意識でやっています。そういうショッキングな描写を見て、イヤだと思う人もいるだろうけど、驚いて次も読んでくれる人もいるから」

冲方「『GANTZ』をこの後、どういう風に展開していくつもりですか?」

奥「僕は“やりすぎ”が『GANTZ』のいいところだと思ってるんですよ。他人に怒られるくらいの方が、『上手くやれてるんだな』と思える。ただ、別に残酷なシーンを描きたいわけじゃなくて、セオリーとかパターンで描いていると自分自身で飽きちゃうだけなんです。今まで誰も見たことのなかったマンガを描きたい。でも・・・玄野たちの成長も描いていきたい。ただ僕自身が飽きっぽい部分があるから、たぶんストーリー的には王道行ったら外したり、外して飽きてきたらまた王道行ったり・・・・・・というのを毎週毎週やっていくんでしょうけどね。まだまだ『GANTZ』でやりたいことはいっぱいある。話をもっともっと広げていきたいし。やりたいことを全部やったと思ったら終わります。・・・」

「Quick Japan」VOL59 P64~67 (太田出版)取材:冲方丁 構成:山田和正 から一部抜粋しました。なお文中の下線は原文にはありません。


以後の予想
前述のインタビューでのポイントは
(1)誰も見たことのなかった漫画を描きたい。
(2)そのためにはショッキングな描写も辞さない
(3)二番煎じは避けたい
といった点だろう。それらを踏まえてキャラごとに今後の予想をちょっちだけ触れておきたい。

レイカのキャラとしての機能は、セクシー役である。色物。抹消すると代わりのキャラを作り出す苦労が生じる。レイカは何度となく扉絵に採用されているところを見ると読者に人気があるだけではなく作者も気に入っているのだろう。
また、玄野への横恋慕を描写することで、玄野を引き立たせる役割も演じている。
美形にとってはありがちな使われ方だ。奥の言う「ショッキングな展開」を行うのであれば、美形キャラにない意表をついた使い方をする必要がある。
「死」はもっとも思いつきやすいプロットだが、巨乳のように「好きな人をかばって」では二番煎じだろう。
読者の要求はレイカに性的に屈辱的な行為を強制される、、あたりが一般的だろうか。しかし得たいの知れないエイリアンにレイプされるというシチュエーションは、その ではいささか手垢のついたものになっている。
一方、エヴァンゲリオンでのアスカラングレイの無残な最期は強い印象をGANTZ laboに与えた。レイカに「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」とでも唱えさせようか?(笑

玄野は主人公としてぱっとしなかった面があった。しかしカッペミッションでの不可能を可能にするような働きはキャラを決定付けるイベントとなった。昼行灯であるが、戦いの中でこそ輝くキャラとして育ちつつある。今回のミッションでも玄野には危機的状況(ハンディ、数的劣勢、強大な敵など)、精神的葛藤(弟との戦い、仲間を殺す、一般人を巻き添えにする、誰かに正体を見られる)が与えられるがそれらを乗り越えていく展開になると思われる。

和泉の目にも涙。そういう一コマがあってもしかるべきだ。今回、和泉は吸血鬼にもマークされているから生還は困難なように思われる。が、作者は和泉にまだ語らせたいことがあるのではないかと思う。和泉の冷徹さは玄野の人間的な部分を強調する効果を与えてた。しかしまだそれだけじゃないんじゃないか、と思う。何となくだが。
和泉を生かすとすれば、和泉をバンパイヤ側に配置することだ。バンパイヤの「不思議な力」が和泉の頭に埋められた爆弾を除去し、「俺達側に来いよ 好きなだけ闘えるぞ 玄野と」とバンパイヤが誘惑するシーンがあっても不自然ではない。

タケシは通常なら生き残るキャラだ。タケシにはオレンジレンジ男への復讐が残っている。もちろん復讐したがってるのはタケシではなく読者の方だ。読者のそうした思い入れがある限りタケシは安全だろう。次回ミッション以降は知らないが。

ホイホイは今回のミッションの数少ない生き残り。部屋に一人残されたホイホイはGANTZスーツを着たまま動物園に戻される。スーツの不思議な力に驚く関係者たち。

早く次号が読みたし。